別館「今夜もここにゲイがいる。」

Podcast「今夜もここにゲイがいる。」配信者コーギィによる旅行記とか。

2017/02/22ドイツ旅行①ハンブルク

 

2017年2月22日。同月に20歳になったばかりの私は、空港に立っていました。

よく覚えていませんが、成田空港だったと思います。

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空港。出発は夜でした。

 

今回は人生で二度目の海外旅行。そして、人生で初の一人での海外旅行。

(ちなみに初めての海外旅行は高校生の頃の友人と2人で台湾に行きました。19歳のときだったかな。)

 

今回向かうのはドイツ。主に北ドイツの各都市を周る予定です。いわゆるバックパッカーというやつで、大きなリュックを背負いながら安宿や安い交通機関と脚力を駆使して、いかに多くの場所を見て回れるか。そういった旅になる予定でした。

 

なぜドイツか。

ひとつには、ドイツ人の友人ができたことが理由にあります。

彼がドイツのハンブルクという街に住んでいるので、旅のスタート地点をハンブルクとしました。ハンブルクから北ドイツ各都市を周り、またハンブルクに戻り、帰国するといった旅程です。

ふたつには、私がクラシック音楽と長い付き合いだったこと。

ドイツといえば、クラシック音楽の作曲家などが各地で多数生まれ、制作し、そして亡くなっていった国です。その理由から、周る都市を以下のように決めました。

ハンブルクブレーメン→ケルン→アーヘン→ボン→ライプツィヒドレスデン→ベルリン→ハンブルク

 

ハンブルクは、私の大好きなブラームスが生まれた街です。

ブレーメンといえばブレーメンの音楽隊でしょう。

ケルンはケルンの大聖堂目当て、アーヘンも大聖堂目当て。

ボンはベートーベンの生まれ故郷であり、シューマン夫婦の墓もあります。

ライプツィヒはバッハやメンデルスゾーンが過ごした地。

ドレスデンは、最初はいく予定がなかったのですが、ハンブルクに住む友人からドレスデンの街は超いい景色だから一度は行っとけと言われたので急遽、旅程に組み込むことにしました。

そしてベルリン。ゲイといえばベルリンに行っとかない手はないでしょう。

 

そんな感じの理由で決めた各都市周遊を、バスや電車を駆使しながら、約2週間で遂行しなければなりません。学校の冬休み期間を利用しての旅行ですのでリミットがあったのです。正直なところ、2週間で初ヨーロッパ訪問の人間が組むスケジュールではありませんでした。しんどかった。

 

 

さて、海外旅行のはじまりは飛行機から。

今回はエミレーツ航空を利用しました。2月のドイツは冬で観光としてはオフシーズンだったため、往復で約8万円くらいの航空券を購入できた記憶があります。ヨーロッパ行きで10万円以下に抑えられたのは嬉しいですが、やはり高いですね。

ヨーロッパは宿も、食事も東南アジアのように安くは済まないので工夫が必要です。アルバイトでかき集めた少ない予算で旅程をこなすために、食費を削ることにしました。

 

エミレーツ航空機内食は、エコノミークラスでも品数がたくさんあって楽しさがあります。

また、機内の天井が星空のように光っているのも印象的でした。

ただ、私は正直なところ機内でのいい思い出があまりありません。

乗り物酔いのようになってしまって、ずっと吐き気とめまいにおそわれていました。

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トイレでゲロを吐いたあとのドバイ国際空港のベンチ。

乗り換えのドバイ国際空港で我慢できずにトイレで嘔吐。乗り換えの待ち時間は8時間以上あったので、空港内見学やら色々としてみたいことはあったのですが、トイレで用を済ませた後はずっと搭乗口近くのベンチに座って、水とタブレットのミントを交互に口に含んでいました。

いいんです。オイルマネーでリッチな国の空港でできることなんて貧乏旅行者にはほぼ無いに等しいですし。現地通貨のディラハムとやらも持っておりません。

敗因として、人生初の長い時間の飛行機搭乗だったことと、コンタクトレンズをつけたまま乾燥した機内にずっと居たことがあげられると思われますが、本当のところはよくわかりません。

 

 

 

機内での映画などエンタメを楽しむ余裕もなく、吐き気に耐えながら無事にハンブルク空港に到着しました。

 

ここから、友人の家まで行って今日と明日、そこに泊まらせてもらいます。

久しぶりの友人との再会に喜び、日本が好きな彼の持っている漢字がいっぱい書かれた毛布にくるまって一晩過ごしました。

 

 

そして迎えた翌朝。友人がハンブルクの街を観光に連れ出してくれます。

 

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ハンブルク中央駅。とても大きくて広い。

まずは、ハンブルクの中央駅。ハンブルク内の移動だけでなく、近隣の街への中長距離移動の電車も停車します。国際列車も発車しているようで、近隣の国のチェコプラハポーランドクラクフなどにもこの駅から出発できるようです。

ほぼ全面ガラス張りの天井が印象的でした。とても大きくて人通りもお店も多い駅構内でしたが、狭苦しく感じなかったのはこの天井の影響かもしれません。

駅内には24時間営業しているスーパーマーケットも併設してありました。24時間営業している、および日曜日も営業しているスーパーなどのお店の少ないこと。その貴重さを、たった2週間しかいなかった私も後に知ることとなりました。

 

しかも、私がドイツに来た時期はちょうど「薔薇の月曜日 Rosenmontag」というカーニバルが開催されている時期。西ドイツの冬の風物詩で、街では仮装した人々とパレードが練り歩き、お菓子が空中を飛び交うお祭りの時期です。祝日感覚でお休みになっているお店もたくさんありました。

「お、ちょうどよくパレードなんてやってんじゃん」なんて良い気持ちで構えていましたが、食べ物を買うようなお店が閉まっているのには後々、少々困りました。

 

 

さて、ハンブルク観光です。お次は市庁舎。

ドイツ人の友人いわく、この市庁舎が1番の自慢だそうです。

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ハンブルク市庁舎。空模様からお察しの通り、極寒。

市庁舎の前はだだっ広い、何もない広場のようになっていました。

確かに、趣のあるたたずまいの建築物で、歴史を感じます。

1886年〜1897年に建てられたとのことですので、実際かなり年季の入った建物ですが、現役で市庁舎として使われています。

建築に全く詳しくありませんが、ルネサンス様式で建てられたものらしいです。

中央の尖塔は112メートルもあるそうです。

 

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市庁舎入り口。いかめしい。

近づいてみるとその大きさを身近に感じることができます。写真に写っている人の大きさと比べていただけると、その大きさが伝わるでしょうか。

市庁舎内はガイドツアーも行われているようですが、私は友人というプライベートガイドがいるので何も問題がありません。

中に入っていきます。

 

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市庁舎内部。石造りなのにあたたかみを感じます。

友人に連れられ、市庁舎内部も見学しました。

この柱の数、そして荘厳さよ。雰囲気まとってやがるぜ。

歴代の市長の写真や、建物の歴史などに関する説明書きの展示も飾られており、友人が少し解説してくれました。私はドイツ語が全くわからない状態で来ています。YesがJaだということくらいしか知らない状態です。

 

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市庁舎の中庭のような場所。

中庭には、目を引く噴水もありました。

噴水の中央に立つ女神像の足元にまとわりついているのは竜だと、友人が解説してくれた記憶があるのですが、肝心の意味を忘れてしまいました。

いま調べてみると、こちらの女神は健康と衛生を司るギリシア神話のヒュギエイアで、足元の制止されている竜は疾病を表しているようです。

1892年にハンブルクコレラが大流行し、約8600人もの犠牲者を追悼する目的でこの噴水がつくられた、とのこと。

これを書いている現在2021年にも何か通ずるものがありますね。当時の私は世界がこんなことになるなんて露ほども考えておらず、寒いな〜と古いな〜と思いながら市庁舎を見て周っていました。

 

 

 

市庁舎を出て、街中の散策へと続きます。

どこかで昼食を、と思っていたら友人がバス停のベンチでリュックから黒パン1袋とバナナを出してきて、ほれ、と差し出してくれたので特に名所のレストランなどに行くことなく、昼食は済ませました。

 

 

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アルスター湖のほとり。寒そう。そう、極寒の2月です。

 

ハンブルクは港街ということもありますが、水の都としても有名で、大きな湖、アルスター湖があります。

写真に写っているように、フェリーやボートなども出ており、水上観光も可能です。私が滞在した2月はシーズンオフということもあって人の出入りもまばらでしたが、逆に静かな湖畔を臨めて楽しめました。アルスター湖は、ハンブルクの真珠、とも呼ばれているそうですよ。

 

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湖ほとりにいた廊下で立ってなさい的な像。

この像、ハンブルク各地で見かけました。何かのキャンペーンでしょうか。

場所によってカラーリングも異なるいでたちでした。

 

 

 

 

さて、次に参りますのは赤レンガ倉庫街です。

2015年に世界遺産にも登録された赤煉瓦造りの倉庫街はハンブルクの名所の一つです。

まとまった倉庫群としては世界最大級の広さらしい。

 

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倉庫街近くの建物も赤煉瓦造り。

横浜の赤煉瓦街にも行ったことがありますが、規模でいうと、ハンブルクのそれはかなりの大きさです。見てください。

 

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赤煉瓦倉庫街。

こんな風景がずっと、ずーーーっと向こうまで続いています。

途中、写真中央に写っているような橋がかかっており、そこがベストフォトストップでしょうか。

かなりの広さなので、反対側を振り返ってみても、

 

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ずっと赤煉瓦倉庫街。

ずっと向こうまで赤煉瓦の倉庫です。

19世紀にドイツ帝国が設立され、そのときに整備されたのがこの倉庫街だそう。

この運河を、これまで一体いくつの船が行き来し、一体どれほどの量の品々が持ち運ばれたのでしょう。そんな物思いに耽るにはぴったりの場所だと思います。フォトジェニックですしね。

 

運河街で寒さと歴史に吹きさらされたあと、友人が連れて行ってくれたのは教会。

その名も、聖ミヒェエル教会。

 

なんでも、上に登れる展望台のある教会らしいです。

 

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教会内部。

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教会内部のうしろ側。

中に入ってみるとかなり広いです。

ちょうど何かのコンサートが終わった直後なのか、人がわらわらと出てくるところでした。

塔の上からの絶景が見れる、とのことで連れてきてもらいましたが、教会内部も歴史を感じさせる、荘厳でナイスなスポットでした。

コンサートなども定期的に行われているそうなのでタイミングがあえばそれも良しでしょう。

 

早速、塔にのぼってみます。エレベーターもあるので足腰の弱い方でも大丈夫。

ただ、私たちが行った際はメンテナンスだか故障中だかなんだかでエレベーターが使用できない状態だったらしく、階段でのぼりました。結構な階段数です。130メートル以上もあるらしいので結構な階段です。ひぃ。

 

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聖ミヒャエル教会の塔内部にある鐘。

階段途中には鐘も見れます。リンゴーン。

 

さて、肝心な塔の頂上からの眺望ですが、

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聖ミヒャエル教会尖塔上からの展望。

 

やはり、目を引く色合いの家々の屋根が印象的ですね。いくつか見える塔は他の教会のものです。そして、載せている写真全般で言えますがずっと曇ってますね、2月の北ドイツ。

 

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教会尖塔上からの展望。奥に見えるのがエルベ河。

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教会尖塔上からの展望。臨むエルベ河に行き交う船たち。

大きなエルベ河も望むことができます。広大なエルベ河もあって、だだっぴろいアルスター湖もあって。やはりハンブルク港湾都市ですね。

 

 

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ルター派教会だからか?ルター像がお見送り。



聖ミヒャエル教会を堪能したあとは、寒さに凍えながらこちらに向かいました。

 

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エルプフィル・ハーモニー。

2017年にできたばかり(2017年訪問当時)のコンサートホール、エルプフィル・ハーモニーです。

施設の下部は倉庫として使われていたもので、その上にコンサートホールやホテルやらを建てた形です。

エルベ川沿いに建てられているので、川の水面と空模様を反射するガラス張りな面が印象的です。特徴的な形は河にたつ波でしょうか。

建設のためには資金面であれこれ揉め事もあったようですが、結局完成し、内部も小綺麗なコンサートホールでした。私たちが行ったときには特になんの演目も演奏されていませんでしたが。しかも、内部の写真が一枚も無いという迂闊さ。

 

中にはコンサートホールのほか、カフェやレストラン、展望台やホテルもあります。全体的に小綺麗です。

 

 

 

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大量の水が流れる街に住むって羨ましいなあと思う。

散々観光につきあってくれたドイツ人の友人は学校の用事があるとのことで、こちらの公園で別れました。

 

さて、ここから私のひとりハンブルク観光です。

実は行きたいところがあるのです。

そう、ハンブルクに来たまさにその目的、ブラームス。作曲家ブラームスの博物館がここハンブルクにはあるのです。

ガイドブック「地球の歩き方」から破りとった地図を頼りにひとりで向かいました。

 

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ブラームス博物館入り口。

街並みのなかにスッとたたずんでいるので少々わかりづらいですが、無事にブラームス博物館にたどり着けました。

 

チケットを買うのに少々難儀しました。ブラームス博物館のチケットは写真のここじゃ買えない、向こうの店で買えと言われました。行ってみると、カフェとお土産屋さんが組み合わさったようなお店にカウンター。そしてカウンターにはナイスグレーのおじさま。

ブラームス博物館のチケットを買いたいと拙いドイツ語で伝えると、どうやら近くのテレマン博物館も見れるセットチケットがおすすめだと。おじさまがとても良い人だったのでそのチケットを買いました。テレマンも作曲家です。

併設していたカフェで休憩でもすればよかったな。

 

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ブラームス博物館内部。

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ブラームス博物館内部2。

肝心の博物館ですが、当時の楽器などの展示や、ブラームス自筆の楽譜などがありファンとしては大変見応えのあるものでした。建物としては、広い一軒家を改築したような作りだった記憶です。二枚目の写真を見ていただくとわかるのですが、説明がきなどがドイツ語です。困りました。入り口で日本語で書かれた説明がきのような、A4サイズくらいの紙切れパンフレットを配布されているので、全く何もわからん状態にはなりません。

 

実は、このあたりから私、体調を崩し始めました。

くしゃみが止まらない。咳も止まらない。なんてったって寒気がすごい。

実際、2月のドイツ北ドイツ、しかも港街はかなり寒いのですが、ダウンジャケットを着ていたにもかかわらずどうやら風邪をひいてしまったようです。

結論から言うと、私はこのあと2週間の北ドイツ周遊の間ずっと風邪をひきながら、治らずに病んだまま周ることになりました。

 

ブラームス博物館をあとにし、今度はブラームスの名がついた通りを目指します。

 

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ブラームスの名を冠した広場

 

 

ブラームス博物館から徒歩で行けるこの広場には、ライスハレというコンサートホールがあります。

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ライスハレ

ハンブルク交響楽団の本拠地でもあるこのコンサートホールの近くにはこんなブラームスの顔をかたどったオブジェもあります。

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ブラームスの顔をかたどったオブジェ

私にとってのブラームスはこの若いころの顔ではなくて、晩年の、背中を丸めてピアノに向かっているあの感じなんですが、そんなことはどうでもいいですね。

 

テレマン博物館もその後見ましたが、いかんせん解説がドイツ語でさっぱりでした。ああ、バロックだなあ、というしょうもない感想しかなかった。

 

さて、前述のように体調が最悪に傾きつつあるし、ひととおりハンブルクの街並みも見終わったので、泊まっている友人宅へ帰ることにしました。

 

途中、アルスター湖ほとりのベンチで休憩して、(それくらいゼエゼエしていた)ネットで、「ドイツ  咳」などで検索してみました。どうやら薬よりもハーブティーなどを飲んで寝て治すのがドイツでは一般的なようで、店ではそういったハーブティなどが多数売られているようです。その中でも、喉がいたいときはハーブのセージのお茶を飲むとの情報を微弱なWiFiでつかんだ私は、スーパーによってから帰ることにしました。

 

これから2週間、持って行った水筒にこのセージティーとお湯を入れてずっと飲んでたんですが、動き続けていたせいか治る気配はありませんでした。

 

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立ち寄ったスーパー近くの本屋に見覚えがあるアレが。孤独のグルメ

 

セージティーは効きませんでしたが、結果的に2週間、北ドイツを歩いて周れたのでまあ結果良しでしょう。終わりよければ全てよしと言います。

 

 

ちなみに、次の日である2月23日はその友人がハンブルクから近い街のリューベックというところを案内してくれる予定だったのですが、高熱を出した私は一日中寝込んでいました。他人の家で。せっかくの海外旅行で。どうしようもない。

 

ので、2月23日の写真は1枚もなければ写真もありません。友人がチーズたっぷりのラビオリを茹でてくれたけれど何も食べられなかった思い出だけが残っています。

 

つづく。

 

*次はブレーメンへ移動します。