2017/02/27~03/01ドイツ旅行④ボン
前回はこちら↓
2月27日の12:00頃にケルン中央駅を出発し、電車(IC特急)にてボン中央駅へと向かいました。
ボンでの大きな目的は2つ。ベートーベンの家に行くことと、シューマン夫妻の墓を見ること。そして近郊の「龍の山」と呼ばれている観光地に行くことを目的としていたので少々長めに2泊を予定していました。
手ごろな個室宿が見当たらなかったので、今回ボンで滞在するのはアパートメントタイプの普通の住宅街にあるお部屋をbooking.comで予約しました。「Bonn-Südstadt Apartment Whitesmoke」というサービスアパートメントです。いま検索してみるとトリバゴにしか出てこないですね。
ここらへんにありました。
普通の住宅街のなかにあるので、結構見つけるのに苦労しました。オーナー?の方が建物の前で待っていて鍵を渡してくれる、という段取りで連絡が来ていたのですが人が見当たらずしばらく右往左往していました。
とりあえず重たいバックパックを早く肩から下ろしたいので早速部屋に入ります。
天井照明器具の癖が強い部屋でした。oh.
そしてアパートタイプなのでキッチンがあるのです!自炊ができる!安くたくさん食べれる!やっと!ドイツ旅における初栄養のある調理済みの食事!サンドイッチとリンゴとハーブティー以外のものをやっと食べれる!
実はこのボンにたどりついた時点で常に微熱を帯びて、体調も悪化する一方だったんですよね。ですので、ボンでは予定をつめこめずゆったりと、街に仮に住むようなかたちで滞在しようかなと考えを改めていました。
自炊用に買い込みました。2泊にしてはちょっと書いすぎた量でしたが、いかんせんこれまでの旅であまりものを食べてきていないので自炊できるキッチンに舞い上がってしまいました。
画像のパスタはそれぞれ1袋で60円くらいの安さ。驚きました。パスタや塩、野菜や果物など生活に必要なものが安い、ドイツ全般を通じてそういう印象を受けました。
写真右奥に見えるオレンジ色の筒は、マルチビタミンのタブレットで、水に溶かすとシュワシュワと溶けてジュースのようになって飲めるものです。いかんせん風邪っぴきなので。
尖った形のキャベツ。珍しい形でしょう。
日本でよく見る丸いキャベツもドイツには売っていますが、生食用ではなくザワークラウトなどに使うらしいです。日本のキャベツのように千切りで生で食べたりする、比較的やわらかなキャベツは、ドイツではこの尖った形のもの、と聞いて買ってみました。
とりあえず、トマトパスタと、野菜スープとマルチビタミンをとって少し寝ました。
完全に病人の過ごし方です。せっかくの海外旅行なのに。
下着や靴下類などの洗濯物も洗面台で手洗いして干します。シャワーのお湯が出ず難儀しました。オーナーに連絡してみると、時々出なくなるからお湯は管を叩けば出るわよ、とのこと。そんなアナログな。
休憩したら、もう外が暗くなってくる時間になっていたし、気力もなかったのでそのまま寝ました。ボン滞在初日は家事と休養で終わってしまいました。
明けて2017年2月28日。
予定では27日の昨日の段階でボン市内の観光を済ませ、今日の28日はボンから30分程度の場所にある「竜の岩山ドラッヘンフェルス」という、ニーベルンゲンの詩という中世の叙事詩に出てくる英雄のジークフリートがドラゴン退治をした地に行く予定でした。
予定外に体調を崩し、寝込み休憩しながらの滞在になったので今日はボン市内の観光に徹したいと思います。
ケルンとアーヘンに続き、やはりここボンでも薔薇の月曜日、カーニバルのパレードに遭遇しました。しかもかなりの盛り上がりで、人々が列をなして、山車から投げられるお菓子を拾っています。人混み怖いよ。あと、箱に入ったお菓子とかも投げて配っているので、箱の角が頭に当たってめっちゃ痛かったのを覚えています。
まずはベートーベンハウスへ向かいます。
ベートーベンハウスは、ベートーベンの生家を博物館にした施設で、作品の展示やアーカイブスなどのほか、ベートーベン以外の現代音楽の企画展示なども楽しめる施設です。
全然関係ないですが、地図を見ると、ボンという街は大学もあることから学生の街なことがうかがえますね。
音声ガイドも日本語があります。
なかには、自筆の楽譜の展示や楽器のほかに、ベートーベンと言われれば皆が想像するであろうあの肖像画も飾ってあります。
あと、死んだ直後の顔をかたどった、デスマスクも展示されていました。
デスマスクを作る文化、日本にもあるのかなあ、生き仏みたいなもんだろうか。などと考えながらぷらぷらとひとりで中を見て回りました。韓国や中国など、アジア系の訪問客が多いらしいです。
ベートーベン作品を聴くことができるデジタル・コレクション・スタジオという新しい施設も併設されていました。人気がなく、椅子もあって静かでヘッドフォンしていれば永遠に居座れそうな場所だったので、病人だった私はここでしばらく呆けていました。疲れちゃって、もう。
気を取り直して、ベートーベンハウスをあとにします。
次に向かうのはシューマン夫妻の墓。ロベルト・シューマンとその妻クララ・シューマン。どちらも好きな作曲家で、一度お墓参りに来てみたいと思っていました。
妻のクララを題材にした映画もあるので是非一度ご覧ください。アヘンに溺れ、精神を病み結局自殺してしまったシューマンを最期まで支え、シューマンの死後も音楽家として活動したクララ。私の好きなブラームスが陰ながら恋をしていたといわれるクララ。シューマン(ロベルト)とクララ、ブラームスの三角関係はとても趣深いものがありますので、興味のある方はぜひ一度調べてみてください。奥手なブラームスがいじらしくてもう...。
さて、シューマン夫妻の墓はこちらにあります。ボン旧墓地という集合墓地で、ベートーベンの母親の墓などもあります。
さて、いざ墓参りでござると、墓地内の地図を頼りに目的の墓へ向かいます。
はい、どん。
工事中でカバーに覆われていました。
なんてタイミングでしょう。365日、何年、何十年ものなかで私が訪れたこのタイミングで工事中だなんて。というか、墓が工事中とかあんの?ジャパンから来とるんやで我?
少々憤りましたが仕方ないと諦め、手を合わせて帰りました。
さて、もうボンでの目標は達成してしまいました。
グミで有名なハリボーの工場などもボンにはあるのですが、少々町の中心部から遠く、なんせ気力も体力もないのでボンの街中を無目的に散歩することにします。
コンサートホールを見つけました。
このオペラハウスの脇の道をずっと行くとライン川に面した川縁に出るのですが、そこはベンチが点在するまっすぐな通りで、現地のランナーたちが軽快な走りを見せていました。こんな寒いのに。
やはり、ハンブルクの記事でも書きましたが、大量の水が流れる大きな川のある街に住むことに憧れがあります。一体何時間、何万年もの間、どれほど長い間この川はずっと流れていたのでしょうか。
ライン川はドイツだけでなく、ヨーロッパを広く流れる川です。スイスアルプスからはじまり、私が行ったケルンやボンを通り、オランダに流れ、最終的には北海に流れ出ます。全長は1233キロメートルですって、数が大きすぎてピンと来ませんね。
寒空の下、具合が悪いのに、買ったチーズを食べながらベンチに座って数時間、流れるライン川を眺めていました。
そんで、帰ってまた自炊して、洗濯の続きをして、薬飲んで寝ました。
またまた明けます、3月1日。ついに3月に入りました。ボンでは寝てばかりです。
3月1日の夜、21:20発のバスで東ドイツのライプツィヒへと向かう予定です。
今回もFlixBusを利用しますが、西ドイツのボンから東ドイツのライプツィヒまでをぐわっと夜行バスで横断しますのでなかなかの距離です。3月2日の11:40にライプツィヒ到着予定だったので、ざっと計15時間くらいバスに乗ることになります。
そんな深夜の出発まで何をしていたかというと何もしてませんでした。寝たり、乾いていない洗濯物をドライヤーで乾かしたり、スーパーで夜行バスの中で食べるチーズや軽食を買ったりして呑気に過ごしました。
強いて言えばひとつ、事件があったのです。
ボンにおいて、FlixBusのバス停がここだったのですが、
美術館の裏手にあるのですね。
バスの出発が21:20だったので、21:00にバス停について待っていればいいかあと思って宿をチェックアウトしたのですが、このバス停の近くが真っ暗で。
人気の少ない裏通りのようになっていて、ぽつんぽつんと立っている街頭の下には煙をくゆらすやんちゃな格好をした体格の良い若者たちがたむろしていました。
私が21:00ごろにバス停に着いた時、バスを待つ人は誰もおらず、その近くの暗がりでたむろしているお兄さんたちが私に目をつけたようで近付いてきました。
こちとら、華奢で背も低い、風邪っぴきのジャパニーズです。しかもゲイ。向こうに悪意はないかもしれないけれど、どう見てもヤンキーだし、どう嗅いでもマリファナっぽい匂いがするし、できれば関わりたくありません。
結果、
バス停から少し離れた、近くの美術館のライトアップされている正面玄関らへんの地べたに座ってバスを待つことにしました。
寒かったです。
LitterSportsという正方形のチョコレートがドイツでは有名なのですが、そのチョコレートを食べながら、Podcast番組「明日もゲイ」をイヤホンで聴きながら、地べたに座っていました。
ホームレスだと思われたのか、一度、美術館から出てきた老齢の女性に声をかけられましたがドイツ語でしたし、向こうもそこまで関わりたくなかったのかすぐに離れていきました。
私としても、できれば暖かい場所で怪しいことなく待っていたいですがしょうがないじゃないですか。ここなら防犯カメラもあるし。
ダウンコートで着膨れした風邪ひきのジャパニーズが凍える頃、遠くのバス停の方に見慣れた緑色のバスが来るのが見えました。あのときの安堵感は今でも思い出せます。
ひとりで旅をするというのは、どこまでいってもひとりです。でも、誰かと一緒にいても人は皆、つまるところひとりですし。何の話をしているのでしょうか。
バスに乗り込んだら、コンタクトレンズを外して寝る準備をしました。トイレもついているこの長距離夜行バスに乗って、15時間くらいたった翌朝には、目的地のライプツィヒについているはずです。
さよなら西ドイツ。
つづく。